2022年(令和4年)度の最低賃金の引き上げが決定しました。
今年は特に気をつけなければいけないことがあるんですね。
今回はそんな最低賃金の引き上げについてお伝えしていきます。
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最低賃金とは
最低賃金は最低賃金法という法律に基づいて、国が賃金の最低限度を定めたもので、文字通り、事業主はこの最低賃金以上の賃金を労働者に支払わなければならないんですね。
最低賃金には2種類あって、各都道府県別に定められる「地域別最低賃金」と、特定の産業について設定される「特定最低賃金」があります。
一般的にいう最低賃金は前者の「地域別最低賃金」となりますので、今回はこの「地域別最低賃金」についてお話していきます。
最低賃金の引き上げは毎年10月に行われますが、実際には8月初旬にはおおよその予定が知らされるんですね。年々、引き上げられていて基本、下がるということはないです。
事業主からしてみれば、それだけ人件費が上がるわけですから、毎年この時期は最低賃金の情報には敏感になります。
もちろん労務担当者としても、給与処理に関係してきますので、重要な情報として扱われます。
「地域別最低賃金」と言われているとおり、地域によって金額が定められます。
では実際に、各地域別の最低賃金を見てみましょう。
引き上げ予定額
2022年(令和4年)度の最低賃金の引き上げ予定額は31円となっていて、過去最高の引上げ額といわれた昨年より、さらに引上げ額が高くなってます。
引上げ額が1円や2円といった場合は、元々の時給が最低賃金より高いため、時給改定の対象にならないというケースもありますが、今年度は昨年同様、引上げ額が高くなっていますので、時給改定の対象者がかなり増えてくると予想されます。
最低賃金は関東、関西、中部と言った都心部で高くなる傾向があって、東京、神奈川はすでに1000円を超えていて、大阪が今回の改定でついに1000円を超えました。
愛知も900円台後半となってますので、来年あたりには1000円を超えてくるかもしれませんね。
事業主はこの最低賃金以上の賃金を労働者に支払わなければならない、とされていますので、今現在、この最低賃金よりも低い時間給でお勤めをしている、といった場合は2022年10月からは確実に時給改定がされるということになります。
地域はお住まいの地域ではなく、お勤め先がある地域でみるようにしてくださいね。
労働者がするべき心構え
本来であれば、最低賃金が上がるわけですから、労働者からしてみれば、ただただありがたい、喜ばしいことなんですが、気をつけたいこともあるんですね。
それが社会保険です。
なにが?というと、そもそも社会保険は賃金額により保険料が決まります。
最低賃金が上がったことで、時給が上がれば当然、ひと月の賃金額も増えます。
そうすると、社会保険料も上がってしまい、結局、時給が上がる前と手取り額が変わらない、むしろ減っている!なんてこともありえるかもしれません。
そこで気をつけたいのが、時給改正などの昇給と同じ時期の休日出勤や残業は控える!ということです。
社会保険には等級と言うものがあって、この等級によって社会保険料が決まるんですね。等級が上がれば保険料が上がると言ったしくみなんですが、ある条件を満たすことで社会保険の等級が上がる、ようは社会保険料が高くなってしまうんです。
これは社会保険の随時改定(月額変更)と言われるものなんですが、「社会保険料の落とし穴」という動画で詳しく説明してますので、気になる方はそちらをご参考ください。
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それからもう一つ気をつけたいことが、社会保険の適用の拡大です。
インターネットやテレビなんかでも取り上げられていて、皆さんもうすでにご存知かと思いますが、現在、社会保険に加入している労働者数、社会保険の被保険者数ですね。
社会保険の被保険者数が501人以上の事業所においては、特定適用事業所とされていて、この特定適用事業所に勤める労働者においては、週の労働時間が20時間以上かつ、月の賃金額が88,000円以上で、社会保険に加入しなければいけないんですね。
それが、来月、2022年10月からは社会保険の被保険者数が101人以上の事業所については、特定適用事業所となります。
中には週20時間以上勤務しているけど、月の賃金額が88,000円未満のため、社会保険の加入要件を満たしていない、という方もいます。
それが今回の最低賃金の引き上げで時給が上がって、結果、月の賃金額が88,000円以上になった場合、社会保険に加入しなくてはならなくなるんです。
今はお勤め先が特定適用事業所ではなくても、今後、特定適用事業所になる可能性は十分にありますので、家族の扶養内で働きたい!という方は特に、社会保険の加入用件を満たしていないか、注意するようにしましょう。
まとめ
2022年10月、最低賃金が引き上げられます。
気をつけたいポイントは2つ。
社会保険の保険料が上がるかもしれないということと、特定適用事業所にお勤めの場合は、社会保険の加入要件を満たしてしまう可能性がでてくること。
この2つは今回の最低賃金の引き上げの時期だけでなく、普段の定期昇給時にも注意が必要です。
社会保険や税金など、お給料の仕組みは非常に複雑です。
あとになって「知らなかった!」と後悔しないように、正しい知識を身につけるようにしてくださいね。
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