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経営者も間違えやすい有給休暇のよくある間違い

労務
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有給休暇。

お仕事を休んでも賃金を保障してもらえるという、法律で定められている休暇制度ですよね。

ただこの有給休暇、知らないうちに労働者にとって不利な対応をされていることも多くあります

今回はそんな有給休暇の間違った運用についてお伝えしていきます。

有給休暇の基本

有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことです。

「有休」を取得することで、お仕事を休んでも賃金の支払いを受けることができるんですね。

全ての労働者に与えられる権利なので、週1日勤務のパートや学生アルバイトでも、一定の条件を満たせば有給休暇が付与されることになります。

その条件というのがこちら。

  1. 雇い入れの日から6ヶ月経過していること
  2. その期間の全労働日の8割以上出勤したこと

有給休暇の最初の付与は入社半年後となります。

4/1入社の場合なら10/1に付与されますし、入社が月途中などの場合、例えば4/10に入社した場合であっても半年後の10/10に付与されることになります。

有給の付与日は原則変わりませんので、4/1入社の場合は毎年10/1に有給が付与されていくことになります。

一斉付与、という少し特殊な付与の仕方をしている企業もありますが、基本はこんな感じです。

それから全労働日の8割以上出勤についてですが、有給付与日以前の出勤率が8割以上あるかどうかで判断されます。

4/1入社の場合、最初の有給付与日は10/1となるので、4/1から9/30までの間の出勤率が8割以上あれば、10/1に有給が付与されることになります。

その後は毎年、10/1から翌年9/30までの出勤率が8割以上あれば、10/1に有給が付与されることになります。

全労働日に対しての8割以上というのは、ようするに所定労働日数の8割以上となります。

週3日勤務の方でしたら年間の所定労働日数は約160日程度となるので、160日の8割、128日以上出勤していれば、有休が付与されることになります。

有給の付与日数は正社員などのフルタイムの場合は、最初の付与日数は10日となりますが、フルタイム以外の場合は、比例付与と言って所定労働日数や所定労働時間によって変わります。

勤続年数が長くなればなるほど、付与日数も増えていくしくみですね。

ここまでで有給休暇の基本を抑えていただいて、次に今回の本題、有給休暇に関するよくある間違いについてお伝えしていきます。

よくある間違い3つ

よくある間違いの1つ目が取得申請以外の取得です。

労働者が体調不良や急用で、有休の取得申請をせずに仕事を休んでしまった場合、当然「欠勤」ということになりますよね。

それを会社側が有休として処理してしまうことがあるんですが、それは原則できません。

中には有休の時間単位での取得が可能とされている場合、遅刻や早退をした時間分、有休の取得処理をされるといったこともありますが、こちらについてもできません。

もちろん本人との合意があれば可能ですが、有休は本人からの事前申請があって始めて取得可能とされているので、会社が勝手に有休取得とすることはできないんですね。

特に2019年の4月から有休を年に10日以上付与されている労働者については、年に5日以上有休を取得をさせなければならなくなったこともあって、会社としては「有休の取得をしてもらいたい」という思惑もあるんですね。

もちろん会社側としても必ずしも悪意があるわけではないとは思いますが、もし身に覚えのない有休取得がされているようなら、会社に確認するようにしてください。

それからよくある間違いの2つ目が、有休の計画年休です。

あまり聞き慣れないかもしれませんが、簡単に言うと会社が有休の取得時季を指定することを言います。

よくあるケースは、有休をお盆や年末年始に充てられるといったケースです。

ただし、計画年休を行う場合は就業規則への記載と会社と労働者の間で労使協定を締結している必要があります。

労使協定というのは会社と労働者の間で取り交わす約束ごとのようなもので、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で締結する必要があります。

実はこの計画年休ですが、私が以前勤めていた会社でも行われていて、年末年始に有休を2日分、充てられていたんですね。

ただ実は労使協定の締結がされていませんでした。

そのことを上司に報告して、計画年休の廃止もしくは労使協定の締結を提案したんですが、先程もお伝えした通り、労使協定は労働者の過半数を代表する者との間で締結する必要があるので、その労働者側からの反対意見が多く出たため、あえなくこの計画年休は廃止ということになりました。

有休の計画年休が行われている場合は、就業規則に記載があるか、また労使協定の締結がされているか、確認するようにしてください。

それからよくある間違いの3つ目が、有休の買取りです。

人手不足などを理由に有休を取得させてもらえない、という話をよく耳にします。

しかし有休には2年という時効があります。

これは有休が付与されてから2年の間に消化されなかった有休が消滅してしまう、というものなんですが、せっかくの有休を消滅させてしまうのはもったいないですよね。

そこで、余ってしまった有休を買い取ってもらう、というケースがありますが、有休の買取りは原則違法とされているので、対応してくれる会社ってなかなかないんですね。

有休の買取りがなぜ違法なのか、それは先ほどお伝えした有給休暇の目的、心身の疲労を回復するための休暇、という趣旨にあわないためなんです。

そのため、「有休の買取は違法だから対応しません!」という会社が多いんですが、実は有休の買取りには例外があって、時効により消滅した分の買取や、退職時に残っている有休の買取りについては違法とはなりません

普段から有休の取得ができていない、という場合は有休の買取りについて会社と交渉してみるのも1つの方法かもしれません。

かしこい有給取得方法

よく「有休を使わずに大事にとっておく」という方がいますが、ハッキリ言ってお勧めしません。

というのも、先ほどお伝えした有休の買取は会社側の義務ではないため、特に中小企業では対応してもらえないことも多いので、有休は日頃から計画的に取得していくことをお勧めします。

有休の取得方法としては、1時間や2時間といった時間単位の取得、というのがあります。

有休の時間単位の取得に関しては、管理が複雑になるなどの理由から採用していない会社も多くありますが、半日単位での取得に関しては、採用している会社も多くあります。

有休を取得しない労働者がよく言われるのが、「有休を取得しづらい」ということなんですけど、丸一日取得するのは難しくても、時間単位や半日単位でなら割と取得しやすいと思いますので、ぜひ積極的に時間単位、半日単位での有休取得をしていただきたいですね。

どうしても有休を消化しきれない、といった場合は、最終的には退職時の有給消化をしっかりするようにしましょう。

その場合は退職日の設定をする前に、有休消化の上、退職することを希望する旨を、会社にしっかり伝えるようにしてください。

まとめ

今回は有給休暇に関する間違いについてお伝えしました。

取得申請以外の取得、計画年休、それから買取り。

いずれも会社側としては悪意がなく間違った運用をしている場合もあります。

労働者自らが正しい知識を持って、不利な運用をされないようにしてくださいね。

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