パワハラ、セクハラ、マタハラ。
近年、様々なハラスメントが話題になって、よく知られるようになりましたが、今回はその中でもパワハラ、パワーハラスメントについて解説していきます。
パワハラとは
パワハラとは、パワーハラスメント。
職場内において、事業主が従業員に対して、上司が部下に対して、と言った立場が上の人が、下の人に対して業務の適正範囲を超えた叱責や嫌がらせを行う行為のことをいいます。
ハラスメントという言葉が一般的に使われるようになって、問題とされ始めたのは割と最近のことなんですね。
なので、特に今、企業内において上司という立場になっている50、60代の方たちは、若い頃に当時の上司や先輩たちから、今で言うパワハラを受けて教育、指導を受けてきた、といった方が非常に多いです。
そのため、自分がパワハラをしているという自覚がなく、パワハラをしているなんてこともあります。
ただパワハラを受けている側にも同じことが言えて、自分がパワハラを受けているという自覚がない場合もあるんですね。
そうやって自覚がないまま、精神を蝕まれて病んでしまう、ハラスメント問題は見過ごすことのできない、重要な問題であるとして、2020年6月1日にパワハラ防止法が施行されて、企業に対してパワハラ対策のための相談窓口設置が義務化されました。
中小企業については2022年3月31日までは努力義務となっていますが、来年2022年4月1日には、大企業と同様に義務化が適用されることになってます。
では次にパワハラの具体的内容。
パワハラの6つの類型について解説していきます。
パワハラ6つの類型
身体的侵害
殴る、蹴る、突き飛ばす、物を投げつける、と言った、身体への暴力によるハラスメント行為のことをいいます。
昔のマンガなんかだと、学校で宿題を忘れたら廊下に立たされる、なんてことが描かれてたりしますが、こういったことも身体的侵害となる可能性があります。
精神的侵害
言葉による侮辱、暴言、嫌味、大勢の前での叱責、長時間におよぶ叱責など、暴力ではなく暴言、言葉の暴力によるハラスメント行為のことをいいます。
「こんな簡単なこともできないのか」
「この仕事向いてないんじゃないのか」
など、相手に精神的苦痛を与えるような言葉は精神的侵害となる可能性があります。
人間関係からの切り離し
無視や仲間はずれにする、イベントに参加させない、個室で仕事させるなど、周りとのコミュニケーションの機会を断って、孤立させるような行為も、ハラスメントとなる可能性があります。
過大な要求
仕事能力を超えた業務の押し付け、ノルマ、残業の強要などですね。
上司の家族の旅行の手配や、イベントチケットの入手など、あきらかな私用を押し付けられる、といったことも該当する場合があります。
最初から明らかな悪意を持って接してくるパターンもありますが、
「期待してるよ」
「君ならできるよね」
など、一見悪意がなさそうに振る舞いながら、明らかに時間的、能力的にこなせない業務を押し付けると言ったパターンもあります。
過小な要求
仕事を教えない、与えないなど、もちろん、従業員に無理をさせたくない、と言う観点からこう言った行為がなされることもありますが、これは仕事に対するモチベーションの低下を招く行為でもありますよね。
そう言ったいわゆる窓際社員にすることで、仕事に対するモチベーションを低下させて、自主退社に追い込むといった行為は、残念ながら企業内において実際に行われているハラスメント行為の1つです。
個の侵害
よく言われるのが
「彼氏/彼女はいるのか」
「休日は何をしているのか」
など、仕事に関係のないプライベートなことに過度に立ち入ることです。
他にも特定の社員を監視したり、ロッカーやデスク内の私物を無断で持ち去ったり、写真に撮ったりするような行為も、個の侵害にあたる可能性があります。
パワハラの対処法
パワハラの対処をする場合は、とにかくパワハラの証拠を集めることが重要になります。
いつ、どこで、どのような状況で、どのようなことを言われたり、されたのか。
日頃から悪質なパワハラを受けているという場合、ボイスレコーダーなどで会話を録音するという手段もあります。
パワハラの証拠を集めたら次の段階として、会社の相談窓口にパワハラの事実を伝える、ようにしましょう。
現在、大企業においてはパワハラの相談窓口の設置義務、中小企業においては努力義務があるとは言っても、窓口がない場合もあります。
そう言った場合は第三者機関に相談する、ようにしましょう。
ただし、第三者機関はあくまで相談までしか対応できません。
すでに身体的、精神的ダメージが強く、日常生活にまで影響が出できて、どうしても訴えたいと言った場合は、労働問題を専門としている弁護士に相談する、ようにしましょう。
こう言ったパワハラ問題は、会社に相談したり訴えても、解決までにかなりの時間を要することになります。
相談をしたことで更に関係性を悪化させてしまう、なんてこともあり得ます。
すぐにできる対処法として転職・退職を検討する、と言うことも選択肢の1つです。
いざ、転職や退職を決断したなら、転職や退職を逃げや負けなどと思わずに、ご自身の将来のための前向きな選択として、捉えるようにしてくださいね。
今回はパワハラには6つの類型がある、という内容でした。
現在、大企業においてはパワハラ対策のための相談窓口設置が義務化されていますが、中小企業においては2022年3月31日までは努力義務、来年2022年4月1日には、大企業と同様に義務化が適用されることになってます。
パワハラを無くすためには、労働者一人一人が意識を高く持つことが必要です。
自分には関係ない、仕方がないなんて思わずに、被害者はもちろん加害者にならないためにも、最低限の知識は持つようにしましょう。
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