給与から毎月天引きされている社会保険料。
毎年見直されているんですが、2024年はどのように改定されるのでしょうか。
今回はそんな2024年に改定される保険料率についてお伝えしていきます。
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据え置きの保険料
据え置きの保険料の1つ目が雇用保険料です。
据え置き、と言っても現在の雇用保険料率は6/1,000(一般の事業の労働者負担分)。
(元々は3/1,000や4/1,000)これまでにない高い料率となっているんですね。
雇用保険料率が改定される背景としては、景気が大きく関係してきます。
雇用保険制度は各種給付金を必要な時に必要な分、支給できるようにするため、積立金として積み立てられています。
景気のいい時期には雇用保険料を積み立て、景気の悪い時期に使用するという仕組みです。
2020年から新型コロナウイルスの影響により、倒産・解雇を理由とした失業者の増加、また感染拡大を防ぐため飲食店などが休業・時短営業を強いられ、実質的失業者も急増しました。
失業者が増えれば失業者に支払われる給付の支出が増えますし、新型コロナウイルス関連の会社に支払われる助成金の支出などもあります。
そのため、2022年23年と連続して雇用保険料率が引き上げられたんですね。
2023年に新型コロナウイルスが5類になったことで、新型コロナ関連の失業手当の特例や、助成金はなくなりましたが、2024年は高い料率のまま据え置きということになりました。
ただし、現在の保険料率はコロナ禍対策によるところが大きいとされていますので、早ければ来年あたり、料率が引き下げられるかもしれませんね。
据え置きの保険料の2つ目が、年金保険料です。
厚生年金の保険料率は現在、法定の上限18.3%となっていますが、引き下げられるということは基本ありません。
2024年も据え置きとなります。
改定される保険料
改定される保険料の1つ目が健康保険料です。
健康保険料は保険協会や保険組合といった保険者によって違うんですが、もっとも一般的な保険者である協会けんぽを例にしてお話していきます。
保険料は標準報酬月額に保険料率をかけて計算されます。
標準報酬月額というのは、ざっくりいうと毎月の賃金を区分分けした賃金月額のことです。
例えば月の賃金額が195,000円以上210,000円未満なら標準報酬月額20万円、210,000円以上230,000円未満なら標準報酬月額22万円といった感じです。
この標準報酬月額に保険料率をかけた金額が、ひと月当たりの保険料になります。
保険料率は都道府県によって違っていて、お勤め先の本社の所在地で見ることになりますので、お住まいが大阪府でも、本社の所在地が東京都であれば、東京都の保険料率により保険料の計算がされますのでご注意ください。
こちらが2024年(令和6年)の健康保険料率一覧になります。
保険料は労使折半となるので、労働者が負担するのはこちらに記載されている保険料率のうち半分となります。
47都道府県のうち約半数の24都道府県が引き上げられていて、全国的に引き上げ傾向にあるようです。
健康保険料率が改定される背景としては、納付される保険料、被保険者数、医療費など、いろんな状況をもとに決定されます。
例えば日本は超高齢社会とされていますが、高齢になるとどうしても医療費がかかりますよね。
そのため高齢化率が高い都道府県については保険料率が高くなる傾向があります。
改定される保険料の2つ目が介護保険料です。
介護保険料率については全国一律となっていて、2023年は1.82%でしたが、今年は1.60%に引き下げられます。
介護保険料は40歳以上の方のみ納付することになっていますので、40歳未満の若年層の方に関しては特に影響はありません。
保険料引上げの影響
保険料の引き上げによって、労働者の保険料負担はもちろん増えますが、それは会社側も同じです。
むしろ保険料負担は労働者よりも会社の方が大きいので、労働者を雇用すればするほどその負担は大きくなります。
また2021年から全国的に最低賃金が大幅に上がってきてますが、社会保険料や雇用保険料は賃金額によって計算されますので、賃金額が上がれば保険料も上がります。
最低賃金の引き上げは今後も進んでいくとされていますし、今年2024年にはさらなる社会保険の適用拡大もあります。
労働者を雇用すればするほど、会社の経費負担は上がる一方です。
そのため保険加入対象外の週20時間未満で働く短時間労働者の雇用や、外注などの業務委託を増やし、正規雇用者を減らす会社が増える可能性は十分に考えられます。
求人で「扶養内OK」とか書かれているものをよく見かけますが、それはむしろ扶養内、社会保険に加入せず働いてくれる人を募集してます、という意味合いがあったりもします。
労働者にとってはますます厳しい時代と言えそうですね。
まとめ
今回は2024年に引き上げられる社会保険料についてお伝えしました。
2024年は雇用保険料率は据え置き、健康保険料率が引き上げ傾向にありますが、介護保険料率が引き下げられることになりました。
健康保険料率と介護保険料率の改定は毎年3月になりますので、この時期の給与明細はぜひ保険料に注目して見てみてください。
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