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残業がなかったことに!?変形労働時間制のワナ

労務
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変形労働時間制

聞きなれない方の方が多いかと思います。

日本の法律では、1日の労働時間は8時間まで、週の労働時間は40時間までとされていて、労働時間がこの時間を超えた場合、割増賃金を支払わなければならないとされています。

しかし、変形労働時間制を採用することで割増賃金を支払わなくても良くなる場合があるんです。

「聞いたことないし自分には関係ない」

と思われるかもしれませんが、実はこの変形労働時間制を採用している企業は、半数以上あるんです。

ただし制度が非常に複雑で、企業の担当者でさえ正しく理解しないまま、間違った認識で運用していることも珍しくありません。

今回はそんな変形労働時間制について解説していきます。

変形労働時間制とは

日本の法律では1日の労働時間は8時間まで、週の労働時間は40時間までとされていますが、変形労働時間制は一定期間内において、1日の労働時間8時間、週の労働時間40時間となればよいとする制度です。

一定期間内、と言うのがどの程度の期間かと言うと、変形労働時間制には以下の3種類があります。

  • 1週間単位の変形労働時間
  • 1ヶ月単位の変形労働時間制
  • 1年単位の変形労働時間制

1週間単位の変形労働時間については、非定型変形労働時間制とされていて、小売業や飲食業といった業種や、労働者数が30人未満といった事業の規模など、限られた事業場のみ採用が可能な制度となっていて、採用企業数が少ないため、今回は1ヶ月単位と1年単位の変形労働時間制について解説していきます。

変形労働時間制を採用する目的は、事業内容や職種によって、1ヶ月や1年を単位として、忙しい時期と、そうでない時期があったりしますよね。

例えば、事務職の方だったら、月末月初は忙しいけど、中頃はそうでもないとか、業界的に夏は忙しいけど、冬はそうでもないとか。

そういった場合に変形労働時間制を採用することにより、1ヶ月単位、もしくは1年単位で労働時間が1日8時間、週40時間となるように調整することが可能となります。

変形労働時間制は労働者の方にはあまり認知されていませんが、採用企業数は約60%と、半数以上が採用していて、大企業ほどこの割合が高く70%を超えているんです。

もちろん企業が変形労働時間制を採用したからと言って、全ての労働者に適しているとは限りません。

企業には様々な職種の労働者がいるため、営業職には適していても事務職には適さない、製造職には適していてもサービス職には適さない、と言った場合もあります。

企業としては変形労働時間制を採用したうえで、適用労働者を限定する必要があります。

この適用を受けている労働者についても50%を超えていて、見過ごすことができない制度となっています。

変形労働時間制は就業規則に明記しなければならないとされているため、お勤め先が変形労働時間制を採用しているかどうかは、就業規則で確認することができます。

1ヶ月単位の変形労働時間制

仮に月末月初が忙しくて、月の中頃は手が空くと言った場合、月末月初の1日の労働時間を9時間とし、中頃は7時間とすることで、1ヶ月と言う一定期間内において、1日の労働時間を8時間、週の労働時間を40時間となるように調整することができます。

変形労働時間制を採用せずに月末月初に1日10時間働いた場合、1日の法定労働時間である8時間を超えているため2時間の残業となり、割増賃金を支払わなければいけません。

変形労働時間制の採用のメリットは

  • 企業側:割増賃金の支払いが必要なくなる
  • 労働者側:労働時間の有効活用ができる

ただし、変形労働時間制はあくまで「事前に」時間調整されていなければいけません。

「今日9時間働いたので、明日は7時間働きます」といったように、その時々で調整していいという事ではありません。

このような働き方はフレックスタイム制といった、また別の制度を採用する必要があるため、フレックスタイム制を採用していない場合は、1時間の残業として割増賃金を支払わなければいけません。

1年単位の変形労働時間制

考え方は1ヶ月単位の変形労働時間制と同じです。

仮に夏場の7、8月が忙しくて、冬場の1、2月は手が空くと言った場合、7、8月の1日の労働時間を9時間とし、1、2月は7時間とすることで、1年と言う一定期間内において、1日の労働時間を8時間、週の労働時間を40時間となるように調整することができます。

労働時間だけではなく休日についても調整が可能で、例えば年間休日が120日で、ひと月の所定休日が10日の場合、7、8月の所定休日を8日とし、1、2月の所定休日を12日とすることで、年間休日を120日に調整することができます。

まとめ

変形労働時間制とは、一定期間内において1日の労働時間8時間、週の労働時間40時間となるように調整ができる制度となっています。

間違った運用で、残業代が正しく支払われないというケースも多々あります。

もし上司などから「今日9時間働いたので、明日は7時間勤務で良いよ」なんてことを言われるようなことがあったら、就業規則や雇用契約を確認するようにしてください。

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