国民健康保険と国民年金、お勤め先で社会保険に加入していた方がお勤め先を退職した場合、加入することになりますが、ただ退職して収入がないのに保険料を払うのは大変ですよね。
そんなとき利用できるのが保険料の減免制度です。
なんだか難しそうだし、いろいろ書類を用意したり役所に行くのが面倒、なんて思ってませんか?
この手続き、やるとやらないとでは保険料にかなりの違いがでてくるんです。
今回はそんな退職後の保険料の減免手続きについてお話ししていきます。
減免制度とは
国民健康保険と国民年金。
自営業や無職の方など、会社勤めをしていない方は原則、加入しなければいけません。
会社勤めをしているときは、社会保険に加入し保険料も給与天引きされているため、あまり保険に加入しているという感覚はないかもしれませんが、会社を退職すると社会保険の資格を喪失することになりますので、国民健康保険と国民年金に加入することになります。
ただし、国民健康保険と国民年金の保険料は社会保険の保険料より割高です。
というのも社会保険は保険料の半分を会社が負担してくれているので、労働者が負担する保険料も半分なんですね。
国民健康保険と国民年金の保険料は全額自己負担ですので、社会保険の保険料より高くなるのは当然です。
退職して収入がないのに保険料だけ高くなってしまうのは困りますよね。
そこで利用できるのが保険料の減免制度で、読んで字のごとく、保険料の「減額」「免除」をしてもらえる制度のことです。
ただこの減免制度、本人が申請しないと適用がされないんですね。
実は私自身、失業時期にこの制度を利用したことがあるんですが、3ヶ月で80,000円弱と試算されていた健康保険料が3ヶ月で8,000円、なんと1割程度にまで減額されました。
さらに国民年金に関しては全額納付猶予となって、驚くくらい支出をおさえることができたんですね。
今回お伝えする保険料の減免制度は自治体が行っている制度で、自治体によって多少違いはありますが、対象者についてはほぼ同じような内容となっているようです。
その中でも今回は会社を退職した方の減免制度についてお伝えしていきます。
国民健康保険の減免申請
国民健康保険の減免対象者は以下の通りです。
- 解雇、倒産、雇止め等により離職された方
- 離職日時点で65歳未満の方
解雇、倒産、雇止め等により離職された方を非自発的失業者といいますが、そうそう対象者になりそうもないですよね。
ここでポイントになるのが、非自発的失業者にはやむを得ない自己都合で退職した方も含まれるということです。
失業手当の受給資格には特定受給資格者、特定理由離職者、一般受給資格者の3種類あります。
勤務先の倒産や解雇と言った、会社都合により離職した方を特定受給資格者、転居や異動などで通勤が困難になってしまったなど、自己都合なんだけど、やむを得ない事情により離職した方を特定理由離職者、自己都合により離職した方を一般受給資格者といいますが、注目していただきたいのが特定理由離職者です。
現在、一般受給資格者のうち新型コロナウイルスの感染防止を理由とした離職の場合、特定受給資格者もしくは特定理由離職者として扱うコロナ特例が適用されることになっています。
この減免制度はコロナ特例が適用された方についても利用することが可能となりますので、離職理由はとても重要になります。
手続きにはこの離職理由の確認ができる書類が必要となりますが、手続きに必要な書類はこちらになります。
- 国民健康保険料減免申請書
- 国民健康保険被保険者証(保険証)
- 雇用保険受給資格者証
国民健康保険料減免申請書、これは各自治体によって書式名や書式そのものが違いますが、ほとんどの場合は役所のホームページからダウンロード可能です。
窓口でももちろんもらえますので、事前に用意しなくても大丈夫です。
それから保険証、手続きには被保険者番号が必要ですので、確認のために持っていくようにしてください。
それから雇用保険受給資格者証、会社を退職すると離職票が発行され会社から郵送されてきます。
この離職票をハローワークに持って行って、失業手当の受給手続きをするともらえるのが雇用保険受給資格者証です。
自治体によっては離職票でも減免手続きをしてくれるようですが、雇用保険受給資格者証で手続きをするのをお勧めします。
と言うのも、離職票は会社が内容を記載しているんですが離職理由を「一身上の都合や自己都合」とされていることが多くて、詳しい内容を記載していないことがほとんどなんですね。
そのままの状態で減免申請をしても、非自発的失業者として認めてもらえず申請が通りません。
離職票をハローワークに持って行った時に離職理由について聞かれますので、詳しい離職理由について必ず伝えるようにしてください。
そうすることで離職票に「一身上の都合」や「自己都合」と記載がされていても、非自発的失業者として雇用保険受給資格者証を発行してもらえる場合があります。
ご自身が非自発的失業者と認定されているかどうかは雇用保険受給資格者証にある「離職理由」欄に記載されている番号で確認することができます。
離職理由番号 11・12・21・22・23・31・32・33・34
これらのコードが記載されている場合は、非自発的失業者となり減免制度を利用することが可能となります。
減免制度が利用できると、保険料の算定基準とされる前年の給与所得を100分の30として保険料の計算がされるんですね。
収入ではなく所得です。
年収が350万円ほどの方の場合、社会保険料や基礎控除などを引かれると、多くても所得金額は260万円前後になるかと思います。
本来はこの260万円で保険料の計算がされるところ、260万円の100分の30、78万円として保険料の計算がされることになりますので、相当、保険料の減額が見込まれますよね。
では実際どれくらい保険料が安くなるのか。
結論から言うとはっきりとした金額は不明です。
理由としては自治体によって制度が違うことと、国民健康保険は世帯の前年の所得金額によって計算されるためです。
一人世帯なのか、親や配偶者と同居しているのか、どのくらいの所得があったのかによって保険料が大きく変わります。
ただ冒頭でもお話した通り、私自身のケースでは3ヶ月で80,000円弱と試算されていた健康保険料が3ヶ月で8,000円にまで減額されました。
手続きに関しても申請書類に氏名や住所、被保険者番号といった簡単な情報を記載するだけでとても簡単です。
ご自身が減免の対象者である場合は、ぜひ制度を利用してください。
国民年金の免除申請
前項でお伝えした国民健康保険は解雇、倒産、雇止め等により離職された非自発的失業者が対象とされていますが、国民年金の場合は自己都合による離職の場合でも対象となる場合があります。
「場合がある」と言うのは、国民年金の免除は前年の世帯所得によって判断されますので、家族と同居をしていて世帯所得が多い場合は免除とならないこともあります。
ただし、国民年金には免除のほかに猶予というものもあります。
もう少し詳しくお話すると、国民年金の免除には全額免除、3/4免除、半額免除、1/4免除
の4種類があって、扶養親族の有無などの世帯状況や世帯所得により区分けされています。
例えば扶養親族が配偶者のみの場合、本人と配偶者のそれぞれの所得が102万円以下なら保険料の全額が免除、126万円以下なら保険料の3/4が免除になります。
この表だけを見るとなかなか免除されないのでは、と思われるかもしれませんが、国民年金の免除制度は非常に複雑で、いろいろな特例があります。
そのひとつが先ほどお話した「猶予」。
免除と猶予、何が違うのかというと、免除と言うのは保険料の全額もしくは一部の納付を免除してもらいつつ、受給する年金額には加算されるんですが、猶予と言うのは保険料の納付は免除になるものの、受給する年金額についても加算されないというものです。
「それじゃ結局未納と変わらないじゃん!」って思われるかもしれませんが、きちんと申請をして猶予となるのか、申請をせずに未納とするのとでは扱いが違ってきます。
あまり細かいことを説明してしまうとややこしくなってしまうので、細かい説明は省略しますが、免除申請の手続きは役所で行い、最終的には日本年金機構で決定・情報の管理がされます。
手続きに必要な書類はこちらになります。
- 国民年金保険料免除・納付猶予申請書
- 年金手帳
国民年金保険料免除・納付猶予申請書、こちらは役所の窓口でもらえます。
それから年金手帳、手続きには基礎年金番号が必要ですので、確認のために持っていくようにしてください。
手続きに関しては国民健康保険の減免申請と同様、申請書類に氏名や住所、基礎年金番号と言った簡単な情報を記載するだけでとても簡単です。
国民年金の免除制度は非常に複雑です。
私自身も対象にならないと思っていたところ猶予として決定された経験があります。
対象じゃないかも、という場合でも一度申請をされることをお勧めします。
まとめ
今回は国民健康保険の減免手続きについてお話しました。
制度を利用することで保険料がかなり節約されることになります。
ただし減免制度は本人が申請しないと適用がされません。
ご自身が対象者かどうかわからないという場合は、お住いの地域を管轄している役所の窓口でお問い合わせするようにしてください。
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