スポンサーリンク
スポンサーリンク

【退職後の傷病手当金】受給の要件と注意点

労務
スポンサーリンク
スポンサーリンク

3月は年度末ということで、退職者が増える時期です。

退職理由は色々あるかと思いますが、その中でも病気やケガが原因で仕事を辞めなければならないという方もいるのではないでしょうか。

病気やけがが原因で仕事を休み、賃金の支払いを受けていない場合に受給することができる傷病手当金。

実はある条件を満たしていれば退職後も受給することができるんです。

今回はそんな退職後の傷病手当金の受給についてお話していきます。

▼動画でもご紹介しています【いろはチャンネル】

傷病手当金のおさらい

傷病手当金は社会保険に加入している方が、業務外の病気やケガでお仕事を休み賃金の支払いを受けなかった場合に受給することができる健康保険の給付金制度です。

業務中の病気やケガの場合は労災保険が適用されますので、健康保険の傷病手当金はあくまで私傷病、業務「外」の病気やケガの場合となります。

傷病手当金の受給要件は、

  1. 健康保険の被保険者であること
  2. 私傷病により就労できない日が連続4日以上あること
  3. 医療機関での労務不能の証明があること
  4. 賃金の支給を受けていないこと

この4つが原則的な受給要件となります。

まず傷病手当金は健康保険の給付制度となるので、社会保険(健康保険)に加入している必要があります。

それから傷病手当金は休んだ日数に対して支払われることになりますが、お仕事を休んだ最初の3日間は待期期間として、支給がされないんですね。

実際に支給されるのはお仕事を休んでから4日目からとなるので、4日以上休んだ場合に受給することが可能となります。

またこの4日以上、なんですが連続している必要があります。

2日休んで1日出勤し、さらに2日休んだと言った場合は、連続4日とならないため、受給要件を満たさなくなるのでご注意ください。

それから傷病手当金の申請には医療機関での労務不能の証明が必要です。

自己判断で仕事を休んだ、と言った場合は申請できません。

また医療機関にかかったとしても、医療機関が証明してくれるのはあくまで初診日以降となります。

例えば3/1から発熱で1週間仕事を休んだものの、医療機関の受診は3/5と言った場合、「実は3/1から発熱で1週間仕事を休んだので3/1から労務不能の証明をしてください」と言っても、医療機関としては初診日が3/5なので、3/1からの労務不能の証明はできないんですね。

先ほどお話した待期期間3日は、医療機関が労務不能と認めた最初の日からとなるので、3/5から3日間が待期期間となって、たとえ実際には1週間休んでいたとしても傷病手当金の受給はできないというわけです。

それから傷病手当金はお仕事を休んで賃金の支給がされなかった場合の、賃金の補てんとして支給される給付金となるので、お仕事を休んでも有休を取得するなど、傷病手当金の支給額以上の賃金が支給された場合は支給されません

傷病手当金の受給期間は、実は2022年の1月に法改正によりこれまで支給開始日から1年6ヶ月となっていたのが、支給開始日から通算して1年6ヶ月(支給開始日が2020年7月2日以降の場合)となったんですね。

もう少し詳しくお話すると、例えば6ヶ月間、私傷病により仕事を休んでその後6ヶ月間復職したものの再度同一の私傷病により仕事を休んだ場合、これまではこの復職期間についても1年6ヶ月に含まれていたのが、含まれなくなったんですね。

治療に長期間を要する病気やケガをしてしまった場合、継続した1年6ヶ月ではなく通算した1年6ヶ月の支給がされるということで、より手厚くなりました。

ここまでが傷病手当金の基本となります。

では次に退職後の傷病手当金の受給要件についてお話していきます。

受給の要件と注意点

退職後の傷病手当金の受給要件は、

  1. 退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があること
  2. 退職日時点で傷病手当金を受給しているまたは受給要件を満たしていること

この2つとなります。

被保険者期間1年以上というのは、1日の間もなければ1つの事業所でなくても大丈夫です。

例えば1/1に現在お勤めの会社に就職し、退職日までの被保険者期間が3ヶ月と言った場合でも、前職で12/31まで健康保険に加入していた場合、被保険者期間を通算することができます。

ただし保険者が違う場合は通算できません。

企業でお勤めをしている方ならほとんどの場合は協会けんぽになっているかと思いますので大丈夫かと思いますが、あくまで同一の保険者の場合となります。

それから退職後の傷病手当金の受給は、退職日時点で労務不能の状態であり、その状態が続いている必要があります。

一番やってしまいがちな注意点として、退職日に出勤をしてしまうということです。

退職日に出勤をしてしまうと、退職日時点で就労可能であるということですので、退職後の受給要件を満たさなくなってしまうんですね。

退職日にお世話になった方にあいさつ回りをしたいとか、私物の整理をしたいとかそういう気持ちもわかるんですが、退職日には絶対に出勤をしないようにしてください。

ちなみに有休を取得することは可能です。

有給取得日は傷病手当金の支給対象日にはなりませんが、有休取得日=就労日ということではないので、退職日は公休、有給、欠勤、休職なんでもいいです、とにかく出勤さえしていなければOKです。

それから退職後の傷病手当金は継続給付という扱いになって、労務不能の状態が続いていることが条件です。

なので退職をした後、就職はもちろん社会保険未加入のパート、アルバイトであっても就労をしてしまうと、労務不能の状態ではなくなるわけですから、就労した時点で傷病手当金の支給は終了となります。

さきほど法改正により傷病手当金の受給期間が継続した1年6ヶ月ではなく通算した1年6ヶ月になったとお伝えしましたが、退職後の受給に関しては通算という扱いはされませんのでこちらもご注意ください。

手続きの流れ

傷病手当金の申請には保険者ごとに専用の申請用紙があります。

ほとんどの場合は保険者のHPからダウンロード可能ですので、HPを確認するようにしてください。

ご自身が加入している保険の保険者がどこかわからない場合は、保険証に印字されていますので保険証で確認することができます。

もしくはお勤め先に傷病手当金の申請をしたい旨を伝えていただければ、申請用紙を用意してくれたり保険者の問い合わせ先を教えてくれるはずなので、お勤め先にお問い合わせください。

今回は協会けんぽの申請用紙を参考に手続きの流れについてお話していきます。

申請用紙は全部で4枚あります。

1,2枚目が被保険者記入用、本人が記入する用紙です。

3枚目が事業主記入用、お勤め先が記入する用紙です。

4枚目が療養担当者記入用、医療機関が記入する用紙です。

申請期間が退職日までの分、例えば退職日が3/31の場合は申請期間が3/31までの分は3枚目の事業主記入用が必要となりますので、3枚目は白紙のまま記入済みの1,2,4枚目と併せてお勤め先に提出してください。

たまに3枚目だけ「書いてください」って提出される方がいるんですけど、それだといつからいつまでの証明をすればいいのかわからないので、一式全部提出するようにしてください。

基本的には4枚目の療養担当者記入用に記入されている「労務不能と認めた期間」を申請期間として、事業主記入用を記入して、会社から保険者に郵送しますので、申請書一式を提出してもらえれば大丈夫です。

退職後の申請に関しては3枚目の事業主記入用は不要です。

1,2枚目の被保険者記入用をご自身で記入して、4枚目の療養担当者記入用を医療機関で記入してもらったら、直接保険者に郵送してもらえれば大丈夫です。

療養中は少なくとも1ケ月に1回のペースで通院して頂いて、1ケ月に1回傷病手当金の申請をするようにしてください。

今回は退職後の傷病手当金についてお伝えしました。

ただ退職後というと、気になるのは失業手当ですよね。

傷病手当金を受給するべきなのか、失業手当を受給するべきなのか、それとも両方受給することが可能なのか、また次回お伝えしたいと思います。

まとめ

退職後の傷病手当金の受給要件は

  1. 退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があること
  2. 退職日時点で傷病手当金を受給しているまたは受給要件を満たしていること

特に注意が必要なのは退職日に出勤をしないことです。

退職した後も治療に専念できるよう、ぜひ傷病手当金を活用してください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました