勤務先で雇用保険に加入していた方が失業したときに受給することができる失業手当。
現在、2020年2月25日以降にコロナの感染拡大防止の観点から、自己都合により離職した一部の一般受給資格者を、特定受給資格者または特定理由離職者とするコロナ特例が適用されています。
このコロナ特例、昨年の3月さらには今年の5月から対象者が拡大されました。
今回はそんな失業手当のコロナ特例についてお伝えしていきます。
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3つの受給資格
まず最初に失業手当の受給資格についてお話していきます。
失業手当の受給資格は3つあります。
- 特定受給資格者
- 特定理由離職者
- 一般受給資格者
この受給資格により、受給開始時期や給付日数が変わってきます。
特定受給資格者は勤務先の倒産や解雇と言った、会社都合により離職した方。
特定理由離職者は転居や異動などで通勤が困難になってしまったなど、自己都合なんだけどやむを得ない事情により離職した方。
一般受給資格者は自己都合により離職した方。
この中で特定受給資格者と特定理由離職者、この2つの受給資格者については一般受給資格者より失業手当の受給開始時期が早い、給付日数が多いなど、受給に関していろいろ優遇されます。
現在、2020年2月25日以降にコロナの感染拡大防止の観点から自己都合により離職した一部の一般受給資格者を、特定理由離職者とするコロナ特例というものがあるんですが、この特例の対象者が拡大されました。
では次にどんな場合にこの特例が適用されるのか、拡大された内容について具体的に見てみましょう。
コロナ特例の適用対象
先程もお伝えした通り、2020年2月25日以降に新型コロナウイルスに係る特定の理由で離職した一般受給資格者を、特定理由離職者とするコロナ特例が適用されています。
この他、2021年3月31日以降、新型コロナウイルスの影響により労働日数又は時間が減少したことによって離職した方についても、特定受給資格者または特定理由離職者とするコロナ特例が適用されています。
更にこの5月から拡大されたのが、2022年5月1日以降、新型コロナウイルスの影響による事業所の休業が継続したことにより離職した方について、特定理由離職者とするコロナ特例が適用されることになりました。
これまでのコロナ特例では、新型コロナウイルス感染症の「感染拡大防止の観点」から、自己都合退職した方、またはシフト制でシフトが減少したことにより自己都合退職した方が対象とされていたので、シフト制以外の休業を理由とした退職の場合は対象になっていなかったんですね。
それが今年の5月1日以降は、シフト制以外の方でも事業所の休業が原因により離職した場合、コロナ特例の対象となることになりました。
ただし、コロナ特例の適用を受けるためにはあることが重要になってくるんですね。
では次に、コロナ特例の適用を受けるための注意点についてお伝えします。
コロナ特例適用のための注意点
コロナ特例が適用されるかどうかは、ハローワークに失業手当の受給手続き(正式には求職申込み)をしたときに決定されます。
ではハローワークは何をもってコロナ特例適用の判断をするのか。
それは離職票になります。
離職票とは勤務先を退職後、勤務先から郵送されてくるA4サイズの書類(複写式のタイプであればA3サイズの少し大きな書類)ですが、この離職票に離職理由が記載されているんですね。
基本的にはこの離職理由によってコロナの影響による離職かどうかの判断がされます。
離職理由は勤務先が記載するんですが、ほとんどの場合「一身上の都合」とか「自己都合」と記載されています。
実際の離職理由がコロナの影響による解雇や倒産、雇止め、シフトの減少や休業が原因であるにも関わらず、その事実とは違う離職理由が記載されている場合は、勤務先にいって修正してもらいましょう。
勤務先には言いづらいと言う場合は、ハローワークでの失業手当の受給手続き時に申し出ることも可能です。
その場合はハローワークから勤務先に離職理由の確認をする場合もあります。
ハローワークの担当者から説明がありますので、離職理由に関する申立書に署名をし、担当者に対応してもらうようにしましょう。
コロナ特例の適用を受ける上でこの離職理由は重要になりますので、離職票が届いたら必ず確認するようにしてください。
自己都合退職者でコロナ特例の該当者である場合は、確認書類を用意しておきましょう。
ご自身に基礎疾患がある場合は、確認書類として医師の診断書やお薬手帳など。
同居の家族に基礎疾患がある場合は、同居の事実と続き柄の確認書類として住民票も併せて準備するようにしてください。
新型コロナウイルスの影響により労働日数又は時間が減少した、事業所の休業が継続したことにより離職した場合、離職票の離職理由に記載がされているようなら問題はないですが、記載されていない場合は、ハローワークの窓口で離職理由についてしっかりと申し立てるようにしましょう。
労働日数又は時間が減少したことを確認できる書類としてシフト表やタイムカードの写し、ほとんどの場合、給与明細に労働日数や時間が記載されていますので給与明細の写しなどを持参すると説明しやすいかと思います。
そのほか、コロナ特例の該当理由に関係する書類として申立書。
こちらはハローワークの書式なので、事前にインターネットでダウンロードすることも可能ですが、ハローワークに手続きしに行ったときにその場で記載することも可能です。
このハローワークでの失業手当の受給手続きにより3つの受給資格、一般受給資格者、特定理由離職者、特定受給資格者の決定がされることになり、この受給資格によって受給開始時期や給付日数が大きく変わってきます。
ご自身がコロナ特例対象の可能性がある、ということでしたらハローワークの担当者にしっかりと伝えるようにしてください。
失業手当を受給するにはまず7日間の待期期間があります。
待期期間のカウントが開始されるのは、ハローワークに受給の手続きをした日からとなりますので、手続きが遅くなればなるほど受給開始も遅くなります。
勤務先から離職票が郵送されて来たら、すぐに手続きができるよう事前準備はしっかりとしておきましょう。
まとめ
今回は失業手当のコロナ特例の対象者拡大についてお伝えしました。
これまで新型コロナウイルスの「感染拡大防止の観点」から、自己都合退職した方が対象とされていたコロナ特例ですが、現在は労働日数や時間の減少、休業を理由に自己都合退職した方も対象となっています。
コロナ特例の対象かどうかは離職票の離職理由によって判断されます。
離職票がお手元に届いたら必ず確認するようにしてください。
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